研究概要 |
亜リン酸アルミニウムの配合による埋没材の操作性と理工学的な性質への影響は,ほとんどなかった。それは,1)配合した亜リン酸アルミニウムが微細な結晶粒にもかかわらず,試作石こう系埋没材の流動性や混水比(W/P:0.34〜0.35)には,ほとんど影響を及ぼさなかったこと。これは,亜リン酸アルミニウム粒子を球状に整粒したためと考えられる。2)また,硬化時間への影響もなく,市販埋没材と同程度であった。3)硬化膨張への影響もなく,ダイヤルゲージ法による硬化膨張の測定結果でも,0.36〜0.42%の値を示しており,従来の市販埋没材の値と同程度であることもわかった。また,乾燥強さも石こうの配合量を少なくした条件でもJISやISOの規格条件を十分満たしていた。 使用した合金の鋳造収縮量が1.8〜2.0%であることを考え,加熱膨張量が約2.0%の埋没材を選択して,鋳造体を得た。外側性金型に適合させた場合,十分な加熱膨張量があるため浮き上がりは見られなかった。また,MOD金型に適合させた場合でも膨張過多による浮き上がりも見られなかった。また,ほとんど加熱膨張で鋳造収縮を補償しているため,変形による浮き上がりも見られなかった。さらに、この鋳造体の表面あらさを測定した結果,平均あらさ(Ra)は1.2μmであった。亜リン酸アルミニウムを添加しない場合の平均あらさ(Ra)は,2.0μmであったが,これに比べて大幅に改善された結果が得られた。
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