研究概要 |
修復用レジンの重合収縮を改善することを目的に、スピロカーボネートメタクリレートおよびポリメタクリルメチオニンエチルエステルを合成し、その重合反応を中心に検討を行っている。1:2-oxo-5-ethyl-5-methacryl-oyloxymethyl-1,3-dioxan(CMA)をトリメチロールプロパン、アセトン、メタクリル酸クロライド、エチルクロロホルメートを用いて合成し、その構造を元素分析、IRおよびNMR分析によって確認した。そして、CMAをエチレングリコールジメタクリレートにCMA/EGDMA:30-40/70-60(wt)の割合で溶解し、重合開始剤として過酸化ベンゾイル(BPO)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)およびカンファーキノン(CQ)/アミンを1モル加えて、加熱又は可視光線重合を行い、反応熱を示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した。その結果、CMAにはEGDMAの重合を促進する効果が見られ、また可視光線重合において加熱重合より高い重合熱を生ずることが確認された。さらに、重合体のIRスペクトルからカーボナート環の減少が認められた。しかし、開環重合についてはさらに詳しい検討を続けている。 2:poly(methacryloylmethionine-methyesther)のS酸化体3種(S:PMMeMEl,SO:PMMeME2,SO2:PMMeME3)を合成した。この化合物は側鎖のメチオニン分子内の双極子効果によって、メタクリルポリマーの分子間を押し広げ、重合時の収縮を軽減することが期待できる。そこで、メチルメタクリレート(MMA)に対する溶解性を調べた。その結果、PMMeMElが最も溶解性が優れ、自らMMAの重合開始作用を持つことが明かとなった。現在、MMAおよび他のメタクリレートとの共重合体の物性や重合収縮について検討を行っている。
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