平成13年度は定量化PCR法による解析を行った。SCCA/GAPDHを100倍した数値を発現相対値として定量、評価した。明らかな転移陽性リンパ節では30〜1000の高い相対値を示した。組織学的に転移陰性と診断された108個の頸部リンパ節のうち、30リンパ節は0.1〜8の弱い測定値を認めた。SCCAはconventional PCR法ではNegative controlつまり非癌患者から採取したコントロールリンパ節や唾液腺では検出されない。ところが高感度法であるリアルタイムPCRで30個のコントロールリンパ節を調べてみると26個(86.7%)で発現量0であったが、4リンパ節に低値の発現を認めた。そこで、95%CIを得るためにカットオフ値0.97を設定した。この評価法での転移陽性率は17.6%ととなり優れた特異性、感度が得られた。また、高感度検出法である定量化PCRではCK13はコントロールリンパ節で高い相対値を示すことからマーカーとして不適当であることが判明した。 頸部リンパ節微小転移の遺伝子診断には迷入唾液腺との鑑別が必要である。口腔癌ではSCCA1の発現がSCCA2よりも高く、この比が鑑別の指標になると考えられた。 次にこの診断方法を術中遺伝子診断に応用する方法開発に取り組んだ。RNA抽出には専用ミニカラム(RNAqueousTM)を、またRT-PCRにはLightCyclerを使用することにより全行程4時間30分を1時間20分まで短縮することに成功した。今後はセンチネルリンパ節の術中診断への応用を検討する。
|