研究概要 |
1, 口腔扁平上皮癌頚部リンパ節転移の分子生物学的研究:口腔癌組織における種々の癌遺伝子異常の発現について検索しているが、現在、17番染色体上に存在する癌抑制遺伝子産物p53と細胞核内増殖因子Ki-67の発現との間に相対的な関係がきわめて少ないことに注目している。すなわち、ENVISIONシステムによる2ステップ免疫組織細胞化学染色法を用いて検索を進めているが、原発巣が進展している程、p53陽性細胞の標識率が高く逆に、非進展例ではMIB-1陽性細胞はp53陽性細胞より優位に増殖する結果が得られている。臨床所見ならびにH.E.染色標本における組織所見との関係についてさらに検討を進めている。 2, 口腔癌頚部リンパ節転移の臨床病理学的研究:外科治療例を対象にロジスチック回帰分析を行った結果、全症例では癌の発育様式と術前化学療法の臨床効果、分化度と癌浸潤様式が頚部リンパ節転移に関与したが、Nl,2症例では、原発部位と術前化学療法の効果が転移関連因子であるのに対し、NO症例のみを対象とした場合には、癌浸潤様式および単核細胞浸潤の程度が関与するデータが得られている。このような現象が生物学的に何を意味するのか、さらに検討中である。 3, 口腔扁平上皮癌頚部リンパ節転移の画像評価に関する研究:CT画像上のrim enhancementの有無、US画像上の境界エコーの性状、内部エコーの性状に、リンパ節の短径8mm以上を転移陽性の診断基準とすると、正診率は90%を超えることが明らかとなった。さらに、prospectiveな検討を行っている。
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