研究概要 |
ラット口唇部へformalinを注入するモデルを用い、末梢神経組織の障害後に誘発される痛覚過敏行動と、三叉神経脊髄路核尾側亜核とそれに隣接する延髄外側網様体における細胞内情報伝達系を経時的に検討し,その後、治療群として交感神経遮断薬の影響を検討する。初年度は口唇部への5%formalin50ul注入による痛覚過敏モデルを用い、注入後60分間の痛み関連行動としてscratching行動を測定した.行動測定はformalin注入60分間を最初の10分間は1分間隔,その後は5分間隔で行った.また,注入後1、6、24時間、7、14日に断頭し凍結後三叉神経核標本を作成した。その結果、2相性(1-9分:急性痛と10-60分:痛覚過敏)パターンを観察した.また,三叉神経脊髄路核部に挿入したマイクロダイアリスチューブを用いた疼痛刺激時の脳脊髄液中のglutamate,taurine,Serine,GABAの変化では,注入10-20分でのglutamateおよびGABAの増加が明らかとなった(一部はInternat1onal Association of Dental Research(IADR),vancouver,1999で報告)。さらに平成11年度は神経栄養因子、mRNAの挙動を含めた連鎖する分子レベルでの調節機構の解明を行い、これら薬理学的根拠に基ずく治療法の理論的基盤を得る予定である。
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