研究概要 |
1.健常人および担癌患者の末梢血リンパ球サブセットにおけるCD26^+(CD26陽性細胞)数をフローサイトメトリーで検索した結果、担癌患者(n=13)の単位末梢血容積中のCD3^+,CD4^+,CD8^+数は、健常人(n=12)のそれぞれ49%,59%,68%に減少していた。健常人と担癌患者のCD3^-CD26^+(CD19^+CD20^+,CD16^+CD56^+を含む)数には差はみられず、担癌患者のCD3_+CD26_+数も、平均値では約2倍に上昇していたが、統計学的に有意差はみられなかった。そこで、末梢血リンパ球数に対するCD3^+リンパ球サブセットについて検討したところ、CD8^+の割合が健常人に比べ担癌患者では、1.3倍に上昇していた。2.健常人または担癌患者の血清を添加して、健常人末梢血単核球(PBMC)を培養したところ、担癌患者血清を添加して培養した健常人PBMCの増殖反応が低下する傾向がみられた。そこで、担癌患者のリンパ球を非働化牛胎児血清を添加して培養したところ、担癌患者PBMCの増殖反応が低下していた。3.健常人PBMCとKB細胞(扁平上皮癌培養細胞)を無血清培地で共存培養したところ、PBMCの増殖反応、PBMC抽出物のDPPIV活性、培養上清中のDPPIV活性が、それぞれ62%,73%,65%に減少した。4.健常人Tリンパ球細胞膜DPPIVに対する担癌患者血清の影響を検索した結果、わずかながらDPPIV活性が抑制される傾向がみられた。以上の結果から、担癌患者の末梢血リンパ球CD26(DPPIV)の発現は、癌細胞由来の直接因子の他、リンパ球サブセットの変動または機能の変化に影響されることが示唆された。
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