研究概要 |
1. 嚥下動態解析のための超音波画像解析システム(US)の設定条件確立 これまで超音波断層法による嚥下時の舌動態に関しては,成人や小児を対象に頭部を固定して舌前方部の観察が行われてきた。これに対し,今回は特に舌根部の動態を重視していることと,対象が乳幼児で頭部固定が困難であったことから,被験者の顎下部にプローブを術者が手で保持し,超音波の中心線が下顎第二乳臼歯部をとおり,眼耳平面に直交している状態で舌後方部の画像記録を行った。 2. 探触子の固定装置の開発 乳幼児を対象として撮影してみた結果,頭部の強固な固定装置は乳幼児に応用することは困難であったため,探触子に角度計を付与して設置基準を設けることと,術者の腕で被験者の頭部と頸部を支持し,緩やかな固定を行うこととした。 3. 超音波撮影装置用被験食品の開発 (1) 現在臨床的に摂食・嚥下障害患者で使用されている,増粘剤食品の温度及び味が嚥下運動に及ぼす影響について検討し,発表した。 (2) 小児に適した食品の調達について 3才幼児を対象に,水,炭酸飲料,炭酸を含まない果汁飲料,ヨーグルト,プリン,赤ちゃんせんべい、クッキーを被験食品とし,超音波撮影を行い,各食品の口腔内での映り方,および小児の嗜好を検討した。その結果,液体の被験食で映りのよいのは炭酸飲料であるが,小児には炭酸刺激が好まれなかった。炭酸を含まない果汁飲料では,酸味と温度により対象者の受入れに差がでた。そのため,刺激がなく温度に関係なく受け入れられやすい水を採用した。ペースト状食品として,ヨーグルトとプリンは口腔内での映りが良好で,小児にも好まれたので,採用した。また固形食品として赤ちゃんせんべい,クッキーはペースト状食品と同様の映りで,小児にも好まれたので,採用した。なお,上記被験食品を用いて,1〜3才の幼児並びに吸啜中の乳児の嚥下動態を観察し,現在分折中である。
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