研究概要 |
昨年度確立した超音波撮影の設定条件下で,幼児の摂食・嚥下運動を観察・分析した。 Bモードでの観察の結果,水・プリン・クッキー・せんべいといった,物性の異なる食品に応じた口腔内処理(咀嚼,押しつぶし,処理無し)が認められた。嚥下時の舌背面の矢状断動態は,これまでX線映画等で観察されていた成人と,ほぼ同様の所見が得られた。 さらに舌背の前後的中央部のMモード観察では,各被験食品の口腔内処理において,それぞれ特徴的なMモード波形を示した。嚥下時の波形は,どの食品でもほぼ同様であった。これは,これまで,向井らが乳幼児の嚥下運動を前額断で超音波撮影観察した所見と類似していた。 また,口腔内処理から嚥下までの一連の動作を観察したところ,周期的な舌運動が生じており,嚥下が起こる直前に,食物の処理中,嚥下運動中のいずれとも異なる舌動態が認められた。これは,摂食・嚥下運動における食塊形成および咽頭への移送運動にあたると推察されるが,今後,これまでに採得した資料を分析して,検討する予定である。 本年度の研究実施計画にあった障害者の摂食・嚥下運動の超音波撮影を、本年度は行うことができなかった。来年度は、研究分担者の向井、配島が中心となって障害者の摂食・嚥下運動時の撮影を行い、健常児者との比較検討を行う予定である。
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