研究概要 |
社会医療診療行為別調査報告(昭和55年,58年,60年,平成2年,6年)より,歯科診療所における1ヵ月間の診療報酬明細書を用いて,抜髄・感染根管処置に関する分析を試みた.各年度毎に件数.男女比,平均年齢,総点数,実日数,行為数,主傷病名等を集計した.また.抜髄,感染根管治療は,平成2年,6年では単根管, 2根管,3根管に分け,根管充填の有無等による治療内容について分析した.今回分析した検査および処置項目は電気的根管長測定検査,抜髄,麻酔抜髄,感染根管処置,根管貼薬.根管充填,加圧根充加算であり,各々の処置点数を合計し,それぞれを抜髄.感染根管治療にかかる点数とした.その結果,平均年齢は昭和55年31.8±18.9から平成6年43.2±23.3(歳),平均行為数は9.3±6.5から11.5±7.4(回),男性比は41.5から45.2(%)と年次的に増加しているが,平均実日数は2.98±2.18から2.61±1.79と減少している.また.主病名が歯髄炎,歯根膜炎の割合は年次的に減少しているが平均年齢は高くなる傾向が示された.このことは,歯科医療受診者が高齢化していることが示唆され,歯科受診実日数は減少しているのにかかわらず平均行為数が増加していることより, 1日当たりの治療の集中化や診療行為内容の変化が推測される.抜髄,感染根管治療内容の分析について単根管歯,2根管歯, 3根管歯を抜髄,感染根管,根充,未根充に分類すると,平均点数,最頻値はいずれの根管歯も抜髄,根充のパターンが最も高い点数を示した.例えば,単根管歯の抜髄を1本行い,根充されたケースの最頻値412点は電気的根管長測定検査(25点),抜髄(120点),麻酔抜髄加算(90点),根管充填(67点),加圧加算(110点)を合計したものであり,単根歯の抜髄処置を行い根管充填したケースでは根管貼薬がないパターンが最も多いことが示され,2,3根歯についても同様の結果となった.また,感染根管治療においても根管貼薬されないか, 1回されて根管充填に到るケースが多いことがみられた.
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