研究概要 |
1980年,1985年,1990年,1994年の社会医療診療行為別調査報告で使用された原資料(6月調査,1か月分)から,歯科診療所を対象にして,1)レセプト点数順位別にみた歯科医療費の構成の年次推移(レセプト1件あたり総点数を高点数から順に階層化し,全レセプト合計点数に対する割合),2)1レセプトあたり診療行為別回数および診療行為別点数の1980年=1とした年次推移(診療行為を「歯周治療」,「有床義歯」,「充填」,「鋳造歯冠修復」等に再構成し,診療行為が診断(疾病)名と関連付けられるように配慮して区分した).また,3)歯周診療行為のうち,指導・管理検査・歯石除去・盲嚢掻爬,暫間固定,歯槽膿漏処置,歯周外科,初期治療の7項目について,処置の割合、各年度の推移,点数分布について検討した.その結果,1)歯科診療所の歯科医療費のレセプト点数順位別構成割合は1980年から1994年にかけてほとんど変化がなく,医科と比較して一部の高点数の患者が歯科医療費の大半を占める傾向はなかった.2)「歯周治療」に関する1レセプトあたり診療行為別回数および点数の年次推移は,15歳以上の各年齢群において著しい増加傾向を示し,診療報酬改正の影響が推察された.有床義歯に関する1レセプトあたり診療行為別回数および点数は減少傾向を示し,有床義歯の必要度が高くなると推察される65歳以上群の増加傾向は認められなかった.3)7項目の記載のあるレセプト件数の割合は各年約40%前後で,総点数にしめる点数割合は約13%であり,これら項目の平均点数は年々増加する傾向にあった.これは2)と同様に保険点数の変化の影響が考えられた.診療内容については,検査,歯周外科の件数が減少していたが,歯周外科を必要とするような重度な症例の減少や診療内容の変化などが関与していると考えられた.
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