研究概要 |
過去2年間,実施してきた社会医療診療行為別調査報告の原資料を用いて分析した,根管治療,歯周治療およびその他の診療行為別回数・点数等の構成割合,年次推移等の検討を行った.その結果,根管治療,歯周治療とも,関連する診療報酬点数の平均値,最頻値をみると,一般的な診療行為の累積点数とほぼ等しいことが推定された.これらのことから,現在の点数表上細分化されている診療行為別の点数を,包括化しても,例外的な症例を除けば,実際上それほどの不都合は生じないものと考えられた. これらの研究結果に基づき,今後の歯科保険診療の支払い方式として,診断群別・包括支払い方式(DRG/PPS)を導入することの可否について,考察を行った.その結果,DRG/PPSの導入に先立ち,まず,DRGの開発を着実に行うことが必要であり,そのためには,現在の歯科診療について,良質なデータに基づく分析がなされなければならないとした. また,これらの具体化に当たっては,次のような問題について検討することが必要であることを提言した. 1、適切な診断群すなわち歯科疾病の分類が必要. 2、診断群別に,標準的な歯科診療に関するガイドラインを定めることが必要. 3、DRG/PPSは急性期の歯科疾患にはなじみやすいと考えられるが,例外的な症状や経過を辿るものについての検討が必要. 4、歯科診療のコストについて,施設単位の収支のみならず,疾病別・診療行為別に実際単価の調査を行い,分析することが必要. 5、現在の歯科点数表における区分は,あまり細分化され,複雑になりすぎているので,その是正を図ることが緊急である.
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