目的:成人住民について、歯の喪失リスクがある者について生活食事習慣の指導管理を行うことによって歯の喪失予防や歯口腔の健康度が改善されるかを確かめ、8020運動の地域展開の理論的根拠を明らかにすることを目的とする。 方法:対象者は山岡町と上矢作町および飛島村の成人住民を対象として行われる健康診断や人間ドック参加者を対象とした。口腔の健康を維持する上で重要な、生活習慣や食生活習慣、口腔内状況を分析した。分析にはオッズ比、数量化II類等を用い、生活習慣や食生活習慣、口腔内状況の重要度を明らかとし、住民が各自でチェックすることのできる「歯の健康づくり得点」を町村ごとに作成した。町村ごとに得点の低い対象者のリストを作成し、個別の生活習慣や食生活習慣、口腔健康管理の指導および相談を行った。また、保有歯数と咀嚼能率との関係を明らかにするために測定を行った。 結果:山岡町、上矢作町では9問から、飛島村では10問からなる歯の健康づくり得点を作成した。調査データより作成した、各町の健康づくり得点を用いて、個人ごとの得点を求めた。そして点数の低い者について個別の生活習慣や食生活習慣、口腔健康管理の指導および相談の対象者とした。 山岡町の得点は15.6±3.4(平均±SD)点であった。上矢作町の得点は14.7±2.7点であった。 山岡町:平成11年から12年、平成12年から13年の1年間の変化においてはケース群で歯の健康づくり得点の向上する傾向が見られた。CPIにおいては平成11年から13年ではオッズ比1.72でケース群で改善していた。上矢作町歯の健康づくり得点は平成11年から12年にかけての変化において介入の大きな影響は見られなかった。MDFは平成12年から平成13年にかけてケース群で改善または維持される傾向が見られた。 飛島村において歯のさわやか得点が特に5〜4点をカットオフとした場合に有意に2年間に歯を喪失していた。 保有歯数と咀嚼能率では前歯部より、小臼歯部、および大臼歯部において保有歯数と咀嚼能率との相関係数が高かった。咀嚼能率に対して小臼歯部と大臼歯部では、相関係数は同様な水準であった。
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