研究概要 |
本研究の目的は、歯周炎易感受性を引き起こす関連遺伝子を、mRNA発現の違いを1枚のゲル上でfinger printするRNA arbitrarily primed PCR(RAP-PCR)法により解析する事である。 第1段階として、8名の健常人の末梢血より好中球を分離し、P. gingivalis-LPS(Pg-LPS)並びに対照としてE.coli-LPS(Ec-LPS)により刺激し、RAP-PCR法にて解析した。その結果、LPS刺激の種類の違いにより好中球に発現する遺伝子の強さが異なることがわかった(Dentistry in Japan, 1999)。その後、第2段階として発現量に差のあった遺伝子産物についてsubcloning, sequencing及びRT-PCRによる定量を行った。その結果、supervillin, VEGFが他菌種LPS(A. actinomycetemcomitans, P. intermedia)や合成lipid A刺激との比較でもPg-LPS刺激において有意に強い発現を示した(J Periodont Res, 2001)。 第3段階では典型的な早期発症型歯周炎(EOP)患者6名、対照として成人性歯周炎(AP)患者6名と健常人(H)8名の末梢血液中の好中球を分離し合成ペプチドfMLPにて刺激後、同様にRAP-PCR、sequencing, RT-PCRを行った。その結果、EOPにおいて有意に強く発現する遺伝子としてHeat shock trancription factor 4bが、Hと比較してEOPにおいて有意に低く発現する遺伝子としてKruppel-like zincfinger transcription factor 9とmuskelinが同定された(J Periodont Res, in press)。
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