研究課題/領域番号 |
10470458
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
山崎 和久 新潟大学, 歯学部, 助教授 (00182478)
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研究分担者 |
中島 貴子 新潟大学, 歯学部, 助手 (40303143)
青柳 敏彦 新潟大学, 歯学部・附属病院, 助手 (80283018)
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キーワード | TCR / Heat Shock Protein / Porphyromonas gingivalis / T cell clonotype / Periodontitis / RT-PCR / SSCP / Sequencing |
研究概要 |
昨年度までの結果より、歯周炎局所に浸潤しているT細胞レパトアは、末梢血と比較してクローナリティが高く、比較的限定した抗原を認識しており、それらの抗原は共通のエピトープを持っている可能性が示唆された。そこで共通抗原の候補としてHeat Shock Protein(HSP)60ファミリーを想定し、以下の実験を行った。 1.リコンビナントhuman HSP60(hHSP60)、Porphyromonas gingivalis GroELの作製:抗原として実験に供するhHSP60、P.Gingivalis GroELを得るために、それぞれの分子をコードするDNAを得て発現用ベクター(pRSET)に組み込み、大腸菌で発現させてヒスチジンタグの付加されたfusion proteinを合成し、精製した。 2. 抗HSP抗体の検索:1で精製した抗原に対して特異的免疫応答が認められるかを確かめるため、歯周炎患者の血清、歯肉中の抗hHSP60抗体、抗P.gingivalis GroEL抗体の存在をウエスタンブロッティングにより調べた。抗GroEL抗体はほとんど患者の血清、歯肉抽出液中で認められ、抗hHSP60抗体は血清に比べより多くの歯肉抽出液中から認められた。さらに、これらの抗体の交差反応性も確認した。 3. HSP 認識T細胞の検索:2で確認された特異的免疫応答を担うT細胞の存在を調べるために、1で得られたタンパクを抗原として歯周炎患者10名の末梢血単核細胞を刺激培養した結果、健常者に比べて高い増殖活性を示すケースが多かった。さらにこの刺激した細胞と、歯周炎歯肉のT細胞を RT-PCR-SSCP 法によりクローナリティを比較したところ、数名の患者で歯肉、hHSP60 刺激細胞、 P. gingivalis GroEL 刺激細胞で同一の位置のバンドが確認され、抗原受容体遺伝子 TCR β鎖 CDR3 領域のシークエンス解析を行った結果、同一のクローンであることを確認した。 以上の結果より hHSP60 と P. ginigivalis GroEL の分子相同性に由来する交差免疫反応が、歯周炎の病態の一部であることが示唆された。
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