昨年度にひき続きPCR法により各種トリテルペン生産植物からオキシドスクワレン閉環酵素cDNAのクローニングを行い約30種のクローンを得た。これら全長cDNAを酵母発現用プラスミドに組み込み、ラノステロール合成酵素欠損株の酵母を形質転換し蓄積する生成物の化学的構造解析の結果から各クローンの酵素機能の同定した。また可能なものについては、形質転換酵母由来の粗タンパク画分を用いて直接in vivoの酵素活性を検出した。その結果、生成物特異性の異なる4種のトリテルペン合成酵素cDNA、すなわちβ-アミリン合成酵素、ルペオール合成酵素、α-アミリン合成酵素、ククルビタジエノール合成酵素を取得した。β-アミリン合成酵素とルペオール合成酵素についてはキメラ体や部位特異的変異導入体を作成し、生成物特異性に関与するアミノ酸残基を同定した。シロイヌナズナ由来のルペオール合成酵素について、アンチセンスDNAを植物形質転換用プラスミドのCMV35Sプロモーター下流に組み込み、同種導入系のモデルとしてシロイヌナズナを形質転換した。形質転換体のT2世代における表現系を解析し、ルペオール含量の減少を確認した。これらの結果から、トリテルペン合成酵素遺伝子の導入による、薬用植物におけるサポニン生産能の人為的改変に大きな展望が開けた。
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