研究概要 |
本研究では酸塩基複合体形成を基盤とする分子と分子の相互作用による活性化を基本概念として設定し、活性化と立体化学制御機能を持つ分子の設計を基盤とした触媒的不斉反応の開拓を直接の目的とする。本研究により本年度は以下の成果を上げることができた。 1)キラルアミドホスフィン配位子-銅錯体を触媒量(1mol%)用いる有機亜鉛のイミンへの不斉付加反応において、キラルアミドホスフィン配位子上の置換基の効果を検討した。その結果、ベンジル基の代りにより嵩高い2,4,6-トリメチルベンジル基を有する配位子を用いると触媒活性が向上し、より高い収率、及び鏡像異性体過剰率で光学活性アミン誘導体が得られることを見いだした。 2)アリールホウ酸の環状エノンへの共役付加反応の不斉触媒であるキラルアミドホスフィン配位子-ロジウム錯体の構造解析研究を行った。NMR、IR、X線結晶構造解析などを用い、キラルアミドホスフィン配位子が触媒サイクルの中、必要に応じて二座配位と単座配位を切り替える能力を有するヘミレイバル配位子であることを明らかにした。 3)キラル配位子制御によるα-シリルエステルエノラートの面選択を基盤とする環状ケトンとのピーターソン反応の検討を行った。その結果、三座配位型キラルアミノジエーテルがキラル配位子として有効であり、光学活性α,β-不飽和エステルを高収率、高エナンチオ選択的に与えることを見いだした。
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