研究課題/領域番号 |
10470474
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐治 英郎 京都大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (40115853)
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研究分担者 |
大桃 善朗 大阪薬科大学, 助教授 (70183241)
間賀田 泰寛 京都大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (20209399)
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キーワード | 脳 / ニコチン受容体 / 光学異性体 / 放射性リガンド / 画像解析 / インビボマッピング / ラジオレセプターアッセイ / 体内分布 |
研究概要 |
本研究は、生きている脳での神経伝達機能のインビボ定量解析法として、放射性光学異性体を機能探索分子として利用するポジトロンCT(PET)やシングルフォトンCT(SPECT)などの放射線画像計測法を開発することにある。そこで、本年度は、放射性核種として核医学画像解析に適した性質を有する123-ヨウ素を、また分子設計の母体化合物としてアルツハイマーなどの疾患に関連するといわれている中枢アセチルコリン神経伝達系のニコチン受容体に親和性の高いニコチンをそれぞれ選択し、レセプター相互作用に関する構造活性相関的考察により、ニコチンのピロリジン環部をアゼチジン環に変換し、またピリジン環の5位に放射性ヨウ素を導入した光学活性な(S)-5IAを設計した。その結果、本化合物は、(S)-ニコチンの約10倍高い中枢ニコチン受容体親和性を示した。また、本化合物の放射性標識体を合成してラジオレセプターアッセイを行ったところ、ニコチン受容体のサブタイプのうち、α4β2型に選択性の高い結合を示すことが見いだされた。さらに、125-ヨウ素標識5IAラットに静注し、その局所分布を調べた結果、脳への高い移行性とともに、ニコチン受容体の密度に応じた脳内局所集積を示し、インビボでも脳内のニコチン受容体に結合していることが示された。また、123-ヨウ素標識体をコモンマーモセットに投与し、その放射能の頭部への分布を動物用高解像SPECT装置を用いて経時的に検討した結果、ニコチン受容体密度の高い視床に最も高く取り込まれ、この特異的集積は非放射性のニコチン受容体アゴニストの投与によりニコチン受容体密度の低い小脳と同じレベルにまで減少することを認めた。このことより、123-ヨウ素で標識された(S)-5IAを用いて、SPECTにより中枢ニコチン受容体関連神経伝達系のインビボでの情報を得られる可能性が示された。
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