1)結晶化はドラッグデザインに耐える高分解能の結晶構造解析では大きなキーポイントである。様々な「Crystallizability」の手法を導入した良質結晶の作成条件の迅速かつ合理的検討を行った。2)ウィルスRNAのRNA配列にみられるUUCG配列をもつRNAオリゴマーの結晶構造非Watson-Crick塩基対が連なった2重らせん構造の特異な構造特性を構造化学的に明らかにした。3)最近報告されたリボザイムについて、開発したプログラムで各種構造パラメータを算出・整理し、その相関解析を行った。従来の構造パラメータとは異なるキンクパラメータを用いた相関研究を行い、そのデータベース化と利用の実績を高めた。同様な研究手段で、われわれが解析を行ってきたヒト・リゾチームの32変換体の結晶構造についても行った。4)大腸菌AlkAとDNAとの複合体モデルを、関連酵素のX線結晶構造と変異実験結果から構築した。基質DNAがクサビ状に曲がる様式で結合し、損傷塩基が二重らせん構造からフリップアウトしている。この折れ曲がり構造認識には蛋白質のhelix-hairpin-helixモチーフおよびクサビ構造にはロイシン125が重要である。損傷塩基の基質認識は、一連の芳香環がつくるポケットでなされており、アルキル化によって正に帯電した塩基とのπ-cation相互作用で行われているモデルを提唱した。5)DNA修復系酵素MutTについても、8-oxoGを中心とした変異、反応機構について、主に分子表面の静電ポテンシャルに着目した構造活性相関に関する考察を行った。明確な結合ポケットは存在せず、βシート領域の上に基質が張り付くような状態で結合し、疎水性相互作用により捕獲されると考えられる。また、金属カチオンが酵素基質複合体の形成に重要な役割を果たしているモデルを構築した。
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