研究課題/領域番号 |
10470478
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
長澤 滋治 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (70029958)
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研究分担者 |
瀬谷 司 大阪府立成人病センター研究所, 部長 (10301805)
山下 俊之 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 講師 (90192400)
高橋 和彦 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (10113581)
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キーワード | 免疫 / 食細胞 / セレブロシド / 補体 / アポトーシス / EF-1α |
研究概要 |
I.好中球のFcR-CR3依存性食作用に対するセレブロシドの影響 L-セレクチンのリガンドの一つであるスルファチドが、ヒト好中球の細胞内シグナル伝達を惹起する事は良く知られているが、スルファチド刺激により貪食応答が亢進されるかに付いては明らかでなかった。本研究では、FcRやCR3を介した貪食応答がスルファチド刺激により亢進するかを調べた。その結果、FcR-依存的な貪食応答は亢進しなかったが、CR3-依存的な貪食応答がセレブロシドの濃度依存的に亢進した。これは、セレブロシドを介したシグナルがCR3を介したシグナルにより増強される事を示唆する知見である。さらに、ヒト好中球をキモトリプシン処理してL-セレクチンを膜表面から脱落させても、セレブロシド刺激によるCR3-依存性貪食応答が観察された。これは、ヒト好中球には、L-セレクチン以外のセレブロシド受容分子が存在する可能性を示唆する興味深い知見である。 II.ヒトTリンパ球の自己補体活性化分子 ヒトTリンパ球(Jurkat細胞)のNP40可溶化画分から50kDaの自己補体活性化分子を精製し、アミノ酸配列分析から、ポリペプチド鎖延長因子EF-1αと推定された。この自己補体活性化能がEF-1αに対する抗体処理により活性が消失することやEF-1αの存在しないヒト好中球にはこの活性化分子も検出されないことからも支持された。正常なT-リンパ球には抗EF-1α抗体は結合しないが、アポトーシスを起こすと抗体の結合が観察される。これは、EF-1αがアポトーシスに伴う細胞膜構造の変化により細胞質から膜表面へ移行し、自己補体活性化を誘導する可能性を示唆する。
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