研究概要 |
申請者は、ホスファチジルイノシトール4-リン酸(PI(4)P)のD5位をリン酸化するPI(4)P5-キナーゼ(PI(4)P5K)はin vitroで低分子量G蛋白質のADPリボシル化因子(ARF)とホスファチジン酸(PA)により相乗的に活性されることを見いだした。PAは細胞膜にわずかながら存在するが、ホスホリパーゼD(PLD)によっても膜局所で産生される。そこで、アゴニスト刺激によりPI(4)P5KとPLDの細胞内局在が一致するか否かを指標に、PI(4)P5K活性調節機構へのPLDの関与について検討した。 現在までにPLD1とPLD2の二種のPLDがクローニングされているが、これらのPLDアイソザイムをヒト子宮頸ガン由来HeLa細胞に一過的に発現させると、PLD1はリソソーム/後期エンドソームに局在し、PLD2は細胞膜と細胞質全体にドット状に存在した。また、PI(4)P5KαもPLD2と同様に細胞膜と細胞質に散在した。PI(4)P5KαとPLD1またはPLD2を共発現させたHeLa細胞を上皮細胞増殖因子(EGF)で刺激すると、PLD2とPI(4)P5Kαはともに5-10分後に形成されたラッフル膜に移行し、それらの局在はほぼ完全に一致した。一方、PLD1については、EGF刺激してもその局在に変化は見られず、PI(4)P5Kαの局在とは異なっていた。これらの結果より、PLD2はPI(4)P5Kの活性化に関与し、ラッフル膜形成において重要な役割を果たすことが示唆された。 申請者は、この結果をCell99,521-532,1999に発表している。
|