研究課題/領域番号 |
10470487
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
野瀬 清 昭和大学, 薬学部, 教授 (70012747)
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研究分担者 |
真下 順一 昭和大学, 薬学部, 助手 (60054045)
江川 清 昭和大学, 薬学部, 講師 (00095879)
柴沼 筧子 昭和大学, 薬学部, 助教授 (60245876)
西谷 直之 昭和大学, 薬学部, 助手 (10286867)
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キーワード | 過酸化水素 / 核移行 / Hic-5 |
研究概要 |
過酸化水素で誘導される遺伝子として分離したhic-5は、細胞接着斑蛋白質をコードし、この蛋白質は接着斑においてチロシンホスファターゼ(PTP-PEST)、チロシンキナーゼ(FAK)、ビンキュリンなどと複合体を形成している。hic-5遺伝子を正常マウス繊維芽細胞に強制発現すると、細胞のコロニー形成が抑制されるが、FAK欠損マウスの繊維芽細胞ではコロニー形成は影響を受けなかったことから、Hic-5による増殖抑制にはFAKが関与することが考えられる。Hic-5蛋白質のN一末端欠損変異体を各種作成して、FAKにとの結合部位を決定したところ、3個のLD領域のうち最もN一末端のLD領域を1個欠失させるとFAKとの結合が失われた。また、この欠失変異体は細胞に発現させてもコロニー形成の阻害を起こさなかった。一方PTP-PESTとの結合部位はHic-5のC-末端に存在するLIMドメインが必要であることが示された。4個のLIMドメインの中でも3番目のLIMがこの結合に必要であり、接着斑への局在にもこのLIMドメインが関与することが明らかとなった。Hic-5とPTP-PESTとの結合の意義は不明であるが、酸化ストレスでHic-5が接着斑から核へ移行する際にPTP-PESTを過剰発現しておくと、核への移行が抑制されたことから、PTP-PESTはHic-5を細胞質に繋ぎ止める働きを持つことが考えられる。以上の結果から、Hic-5の生理活性にはFAKとの結合が必要で、PTP-PESTはFAKの基質のチロシン燐酸化レベルの調節に関わる可能性が考えられる。
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