研究課題
基盤研究(B)
ヌクレオシド二リン酸キナーゼ(NDPK)が酵素として細胞内(d)NTPsプールの形成に関与する事実は自明であるが、新規に発見された複数の機能と、予想を超えた様々な生命現象との関わりによって、その生理的意義と分子機構の解明の緊急性と重要性が再認識されつつある。本研究では、様々な現象におけるNDPKの役割と特異的相互作用因子の探索を行い、以下の研究成果を得た。1)細胞膜情報伝達系におけるNDPKの役割についての研究では、NDPKのG蛋白質介在型膜情報伝達系の解析をin vivoで実施し、PACAPによるcAMP産生能に対するNDPK(H118A)のドミナントネガティブ効果を示唆する結果を得た。2)細胞増殖、分化におけるNDPKの役割に関する研究では、細胞増殖能に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド(AS)の阻害作用を確認した。PC12D細胞の分化に対して、NDPKβは神経突起伸長を誘導し、NDPK(H118A)はドミナントネガティブ効果により分化誘導剤(NGF、DBcAMP)の作用を抑制した。3)NDPK/nm23のがん転移抑制作用に関する研究では、ラット高転移性乳癌細胞MTLn3とヒト口腔扁平上皮癌細胞LMF4に対するNDPK/nm23の転移抑制効果を確認し、更に、細胞運動能の低下が肺転移抑制能と正相関し、PI-3キナーゼシグナル伝達系との関連が示唆された。4)NDPK遺伝子の発現調節-自己調節機構に関する研究では、テトラサイクリン(Tet)遺伝子調節システムにおいて自己最終産物によるネガティブフィードバック調節の存在が示唆された。
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