研究概要 |
ペプチドを医薬品に結び付けるための種々の立体選択的合成反応の開発を行うとともに、数種のペプチド性医薬品候補化合物の適合化について検討した。 1.アスパルチルプロテアーゼの基質遷移状態模倣型阻害剤のKey Substructure Unitを構成するホモキラルな1,2-アミノアルコール類やアミノヒドロキシ酸の高収率、高立体選択的合成法としてOne-Pot aza-Payne 転位-Epoxy開環反応を開発した。また本法の応用として、高活性ペプチド性HIVプロテアーゼ阻害剤を見出すとともに、アルツハイマー病の発症に関するβ-セクレターゼ阻害剤の分子設計・合成研究をおこなった。さらに、本反応をO, N-アシル基転移反応と共役させることにより、本法のコンビナトリアル合成への適用を計り、その有用性を実証した。 2.アルケン型ジペプチドイソスターの立体選択的合成法の開発に取り組み、下記の項目に関して理論的活実践的な検討を加え、所期の計画を大幅に上回る研究成果をあげることができた。 1)アミノ酸をキラルプールとする完全立体制御合成プロセス 2)3置換、4置換EADIの立体選択的合成法 3)有機銅試薬によるone-pot還元ー酸化的アルキル化反応(R-O Areaction)を活用した(Z)-フルオロアルケン型ジペプチドイソスターの立体選択的合成法 4)有機亜鉛-銅複合試薬によるSN2'反応を活用したαー位に官能基を有するEADIの立体的選択的合成法 さらにこれらの基盤研究をもとに、最近見出された各種の生理活性ペプチド(bombesin, integrin antagonist, CXCR4 antagonist, nociceptin)のN-末端、C-末端、type II' β-turn構造に(E)-アルケンユニットを導入してnMオーダーの高い活性を有する各種受容体特異的アゴニストあるいはアンタゴニストを見出した。
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