研究課題/領域番号 |
10470492
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
橋田 充 京都大学, 薬学研究科, 教授 (20135594)
|
研究分担者 |
西川 元也 京都大学, 薬学研究科, 助手 (40273437)
高倉 喜信 京都大学, 薬学研究科, 教授 (30171432)
|
キーワード | 遺伝子治療 / プラスミドDNA / 体内動態 / 肝臓ターゲティング / コレステロール / カオチン性リポソーム / ガラクトース受容体 / エンドサイトーシス |
研究概要 |
本研究では、in vivo遺伝子治療の基盤となるプラスミドDNAの体内動態と遺伝子発現の関係について、申請者らが既に基本技術を確立している送達機構および送達点(細胞、細胞内器官)が異なる3種類の肝臓ターゲティング法をプロトタイプに実証的検討を行い、生理学的モデル解析で得られる全身動態パラメータとレポーター遺伝子発現の定量的相関関係を明らかにする。また、得られた情報に基づき、遺伝子の総合的な動態制御を可能とする高分子及び脂質キャリヤー分子の合理的設計理論を構築し、肝疾患を始めとする各種疾患に対する遺伝子治療の基盤確立を図る。本年度は、脂質を利用したキャリアーの開発を目的に、コレステロール骨格にガラクトースを結合させた新規カチオン性脂質誘導体(Gal-C4-Chol)を開発した。Gal-C4-Chol含有リポソームを調製し、種々のin vitro実験を行った結果、肝細胞に発現しているガラクトース受容体を介したエンドサイトーシスの機構を介して効率的な遺伝子発現が起こることが示された。さらに、hvivoへの応用を目的にマウス門脈内投与後の遺伝子発現を検討したところ、肝臓で選択的に高い遺伝子発現が認められた。他の代表的なカチオン性脂質で調製したリポソームでは門脈内投与したにも関わらず、肝臓での遺伝子発現は低く他臓器と同程度であった。また、中性脂質としてcholesterolを用いた場合に、DOPEに比較し高い遺伝子発現が認められた。さらに、種々の電荷比の影響を1.6から7.0の範囲で変化させて検討したところ、電荷比2.3が至適条件であり、これより高い電荷比では、肝臓よりはむしろ肺で高い発現が認められた。以上、Gal-C4-Cholを含有するカチオン性リポソームにより肝臓選択的な遺伝子導入が可能であることが明らかとなった。
|