研究課題/領域番号 |
10470497
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
平田 收正 大阪大学, 薬学研究科, 助教授 (30199062)
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研究分担者 |
澁谷 博孝 福山大学, 薬学部, 教授 (50116042)
宮本 和久 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (30028849)
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キーワード | 熱帯薬用植物 / 毛状根 / 微細藻類 / ビーズ乾燥法 / 超低温保存 / アブシジン酸 / 乾燥耐性 / 人工種子 |
研究概要 |
前年度までの研究で、熱帯薬用植物を含む数種の植物毛状根について、毛端をアルギン酸ビーズに固定化して人工種子を作製し、これを液体窒素中で保存するビーズ乾燥法により、超低温保存に成功した。さらにこの過程で、植物ホルモンであるアブシジン酸で前処理することにより材料の乾燥耐性が上昇し、超低温保存後の生存率も有意に高くなることを明らかにした。 そこで本年度は、インドネシアで民間薬として用いられている植物から誘導した培養組織を材料とする人工種子の作製とその超低温保存を試みた。また、乾燥に弱くビーズ乾燥法の適用が難しいとされる淡水性真核微細藻類について、前年度に引き続きアブシジン酸処理の効果を検討し、さらにこれらの株の超低温保存を試みた。その結果、数種のインドネシア産の薬用植物についてはシュート培養に成功し、さらにシュートの茎頂を封入した人工種子から植物体再生が可能であることも確認した。しかし、これらの超低温保存については、未だ成功していない。一方微細藻類については、複数の緑藻でアブシジン酸処理により乾燥耐性が上昇し、これにより超低温後の生存率も高くなった。アブシジン酸が真核微細藻類において乾燥耐性を上昇させる作用を示すことが確認されたのは、これが初めてである。 以上のように、本研究において、熱帯薬用植物を含む数種の植物の毛状根について、アブシジン酸処理を取り入れたビーズ乾燥法により超低温保存に成功し、さらに本法が微細藻類の保存にも有効であることを示した。今後は、本法をさらに多くの材料に適用し、その遺伝資源保存法としての普遍的有用性を確認する予定である。
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