研究概要 |
1.人口論 過去の特殊合計出生率やGDP,高齢化率等を用いて回帰分析・主成分分析等の既存の統計的手法を用いて出生力回復の処方を探った.しかし,価値観が多様化している今日では結婚の動機付けや結婚ムードを作らせることは困難である. 未婚率の上昇により,低下し続ける合計特殊出生率もやがて安定した値に到達する.この時,人口密度や年の規模も安定化し,現在の日本の高齢社会はまさにこの道程を歩み始めたところにある.社会科学的には,資本・資源の有効利用には,人間や都市が適正な距離や規模で存在することが有利なことを示唆している. 特殊合計出生率は,主に乳児死亡率・未婚率・そしてGDPから大きな影響を受ける.なかでも,乳児死亡率・未婚率は改善の余地がない以上,政策変数となり得るのは,GDPのみである.女子の未婚率の上昇を利用して女性の労働力を活用するならば,GDPが通常とは逆の作用に働き,上手く行けば,多少の出生率の改善をもたらすかもしれない. 2.実態調査 実際に高齢社会を迎えた日本の市町村の実態調査等を実施した.これによると,訪れた市町村はそれなりに平和に運営されているように見える.いずれの村も殆ど道路が舗装され公共設備で無い物はなく,その自治体なりに介護や医療対策が取られている.もし,このままこれらの町村が補助金と地方交付税が潤沢に獲得できる事情が続くならば,この市町村に生活の拠点を移したほうが良いと考える都市の人が出てきても不思議でない.高齢社会はこの意味でなんの問題も発生しないように感じる.
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