研究概要 |
1.量子論の社会学への応用 場の量子論には,大別すると正準量子化と経路積分法がある.ボソン系のラグラジアン密度をゲージ変換することにより,社会学・物理学等で用いられる全ての方程式が導出可能であることがわかった.つまり,精密な形式解は,Scwinger-Dyson法を用いることで与えられることになる.また,実際に量子力学にファジー微分を組み込むことにより各種の病気の有病率の将来推計を行った.この方法によれば,環境の因子はポテンシャルとして定義され病気の発生や消滅等を統一的に記述が可能となる. 経路積分法では,関連樹木法を発展させた.これは,ファジー法と量子論を合わせたもので,我々の選択肢が近くの選択肢と互いに干渉し合う効果が取り入れられている. このために,古典的な非線型理論のみならず揺らぎの幅を持った理論となり,量子計算機と同様の原理を持つアルゴリズムとなっている. 2.人口論 過去の特殊合計出生率やGDP,高齢化率等を用いて回帰分析・主成分分析等の既存の統計的手法を用いて出生力回復の処方を探った.しかし,価値観が多様化している今日では結婚の動機付けや結婚ムードを作らせることは困難である. 未婚率の上昇により,低下し続ける合計特殊出生率もやがて安定した値に到達する.この時,人口密度や年の規模も安定化し,現在の日本の高齢社会はまさにこの道程を歩み始めたところにある.社会科学的には,資本・資源の有効利用には,人間や都市が適正な距離や規模で存在することが有利なことを示唆している.特殊合計出生率は,主に乳児死亡率・未婚率・そしてGDPから大きな影響を受ける.なかでも,乳児死亡率・未婚率は改善の余地がない以上,政策変数となり得るのは,GDPのみである,女子の未婚率の上昇を利用して女性の労働力を活用するならば,GDPが通常とは逆の作用に働き,上手く行けば,多少の出生率の改善をもたらすかもしれない.
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