研究概要 |
1. アレルギー性痒み因子の検索:NCマウスを通常環境移動後4週目に血中IgE濃度の増加がみられ,6週目から多くのマウスで明らかな痒み関連反応が見られた。Dexamethasoneは,血中IgE値を顕著に低下した用量で,NCマウスの痒み関連反応を抑制しなかった。NCマウスは,histamineの皮内注射で痒み関連反応を示さず,serotoninで痒み関連反応を示した。5-HT_<1/2>受容体遮断薬がserotonin誘発反応を抑制したが,NCマウスの痒み関連反応は抑制しなかった。Leukotriene B4をマウスに皮内注射すると少量で痒み関連反応を惹起し,leukotriene B4受容体遮断薬ONO-4057の同時皮内注射で拮抗された。ONO-4057の経口投与が,substance P誘発痒み関連反応とNCマウスの自然発症痒み関連反応を有意に抑制した。一酸化窒素合成酵素阻害薬L-NAMEがNCマウスの痒み関連反応を抑制した。NCマウスの皮膚病変の顕著な部位の皮膚内一酸化窒素濃度は,掻痒反応を示さないNCマウス及びICRマウスの皮膚内濃度より高かった。leukotrineB4と一酸化窒素がNCマウスの痒みの原因因子あるいは増強因子である可能性がある。 2. 一次求心線維の痒み反応:Serotorinは,背中に注射すると掻き動作を惹起し,後肢に注射すると噛み反応を惹起した。一方,発痛物質formalinを背中に注射すると行動上明らかな変化が見られないが,後肢に注射すると舐め反応を惹起した。Serotoninによる後肢の噛み反応はオピオイド拮抗薬naloxoneで抑制されたことから痒み関連反応の可能性がある。また,serotoninによる噛み反応に対応した一次求心線維の活動の記録に成功した。 3. 天然物質中に痒み抑制物質の検索:文献的に痒みを抑制する可能性が推測された37種類の生薬についてsubstance P誘発痒み関連反応に対する抑制作用を調べた。その結果,敗醤根のMeOHエキスが自発運動を抑制せずに痒み関連反応を抑制することを見出した。
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