研究課題/領域番号 |
10470511
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
田中 利男 三重大学, 医学部, 教授 (00135443)
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研究分担者 |
角田 宏 三重大学, 医学部, 助手 (20314114)
西村 有平 三重大学, 医学部, 助手 (30303720)
中 充子 三重大学, 医学部, 助手 (10093139)
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キーワード | カルシウム感受性 / S100C / アクチン / Mg-ATPase活性 |
研究概要 |
細胞内カルシウムイオンは代表的な細胞内情報伝達物質(セカンドメッセンジャー)として、細胞機能を調節していることは数多くの細胞応答において確立されている。さらに臨床的治療薬としては、すでにカルシウムチャンネルブロッカーが世界的にも広く使用され、その有効性が明らかにされている。その後、細胞内カルシウム情報伝達機構の研究成果から細胞質カルシウム濃度と細胞応答の関係が、アゴニスト、アンタゴニスト、病態などの条件により変化すること、すなわち、カルシウム感受性制御機構の存在が示唆されてきた。我々はカルモデュリンのカルシウム感受性を減弱させる平滑筋弛緩薬を新しく見出し、世界で最初のカルシウムデセンシタイザーとして、その作用機序を分子レベルで解明した。されに我々は独自の方法により新しいカルシウム結合蛋白質S100Cを精製、cDNAクローニングに成功し、その標的分子がアクチンであることを明らかにした。我々は、S100Cはアクチンと結合することにより、平滑筋のMg-ATPase活性を阻害することを明らかにした。その阻害はS100Cの濃度依存症に起こり、half-maximal effectはS100C/actin=0.05のモル比で起こり、S100C/actin=0.2のときに最大抑制が認められた。さらに我々は、カルシウム存在下でのS100Cとアクチンの結合のstoichiometryは1:6〜7であることを見い出した。これらの結果から、S100Cはカルシウム依存性にアクチン線維と結合することにより、平滑筋のMg-ATPase活性を調節し、平滑筋細胞におけるカルシウム感受性制御機構に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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