研究概要 |
研究の背景 自己抗体である抗下垂体抗体は、高率に多臓器内分泌障害、下垂体炎のみでなく甲状腺炎やI型糖尿病にも合併する。その抗原は変性成長ホルモンであることが明らかにされつつある。しかし、その臨床的意義は明らかになっていない。そこで,抗下垂体抗体が認識する自己抗原タンパクの解析を通して,自己抗体による内分泌疾患の発生を解明したいと考えた。 研究結果 私たちは、下垂体機能低下症や自己免疫性甲状腺疾患(バセドウ病,橋本病)だけでなくIDDMでも高率に抗下垂体抗体陽性を示すことを示し,バセドウ病の経過では、治療により減少することを見いだした。ラット下垂体を抗原としたウエスタンブロット法で,自己免疫性甲状腺疾患、糖尿病、下垂体性小人症での対応抗原を検索した結果、22kDaに陽性バンドがみられた。このアミノ酸配列を解析し,変性成長ホルモン(GH)であることが確認された。これは患者血清中に抗GH抗体の存在を示唆するものである。これらの知見を踏まえ,本研究は,抗下垂体抗体特異抗原エピトープを決定し,その制御機構を解析することにより新しい病態診断と治療が可能になる。
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