研究課題/領域番号 |
10470514
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中原 一彦 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (70101095)
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研究分担者 |
渡邊 卓 杏林大学, 医学部, 助教授 (00191768)
東 克己 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (50159109)
米山 彰子 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (50175684)
池田 忠子 杏林大学, 医学部, 講師 (90099242)
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キーワード | フローサイトメトリー / 細胞表面抗原 / 抗原量 / 抗原密度 / 細胞サイズ / list mode date / FF係数 |
研究概要 |
本年度は、以下の成果を得ることができた。 【1】我々の使用しているフローサイトメーター(FCM)、FACScanよりlist mode dataを取り出し、これに基づいて直接、FF係数を算出するソフトウエアを含むコンピューターシステムの構築を行った。この過程には、HPコンピューターで取り込まれたFACScanのデータからMacコンピューターのデータへの変換、次にMacコンピューターを使用してのlist mode dataの取り出し、取り出したlist mode dataの読み出し、最終的に読み出されたlist mode dataを用いた蛍光強度(FI)、前方散乱光-細胞サイズ(FSC)、FF係数の自動的計算システムが含まれる。このシステムの完成により、単にFF係数等の算定の客観化、迅速化が可能となるばかりではなく、細胞個々に関する測定データを用いたさまざまなFCMデータの処理が可能となる点は、特に注目すべきであろう。このlist mode dataを有効に利用して、FCM測定データを最大限に活用するための方策を検討してゆくことは、今後の大きな課題である。 【2】上記の成果を踏まえ、血液細胞のFCM解析の結果の表示に関して、FSCを横軸に、FIを縦軸にとった二次元の座標平面上に個々の細胞を点表示し、さらに表示された一群の細胞集団に関して単位サイズあたりの抗原量の増加率であるFF係数、単位細胞サイズあたりの抗原量(FI/FSC:m-antigen density)等を併せ表示し、着目する細胞群に関して、細胞のサイズを考慮に入れつつ抗原量の定量的な評価が可能となるFI/FSC解析法を提唱した。 【3】上記1)、2)の有用性を、実際の臨床例を用いて検証した。例えば、高齢者のCD4陽性Tリンパ球、CD4陽性単球上におけるCD4抗原の解析において、前者に関しては若年者と何ら有意な差異が認められなかったが、後者に関して、老年者のCD4陽性単球のサイズは若年者のそれに比して有意に大きく、またこの細胞上のCD4抗原に関するm-AD、FFは若年者に比して有意な高値を示すことなどを明らかにすることが可能であった。
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