研究概要 |
冠扶勤脆硬化とHGF 1) 血清HGF濃度との関係 冠状動脈造影検査にて、正常冠動脈(22例)、1枝病変(65例)、2枝病変(63例)、3枝病変(40例)の診断の確定した計190例を対象に血清HGF濃度と冠動脈病変との関係を検討した。その結果、平均血清HGF濃度は、正常冠動脈群(0.188±0.022ng/mL)に比べて、1枝病変群(0.243±0.011ng/mL)、2枝病変群(0.330±0.013ng/mL)、3枝病変群(0.379±0.023ng/mL)と、冠動脈病変の進行に伴い、有意に(P<0.01)高値を呈した。血清HGF濃度は、血清尿酸濃度と正の相関を(r=0.324,P=0.0001)、血清HDL-コレステロール値とは負の相関(r=-0,452,P=0.0001)を示した。 2) 単球内HGF濃度との関係 冠動脈造影検査にて、正常冠動脈(8例)、1枝病変(10例)、2枝病変(13例)、3枝病変(10例)の診断の確定した計41例を対象に単球内HGFmRNA量と冠動脈病変との関係を検討した。その結果、血清HGF濃度の結果と同じく、単球内HGFmRNA量は、冠動脈病変の進行に伴い増加した(正常例2.2±0.5×10^8molecules/μg;1枝病変例4.3±0.6x10^8molecules/μg;2枝病変例5.8±1.2×10^8molecules/μg;3枝病変例6.2±1.3×10^8molecules/μg)。まだ例数が少ないので確定的ではないが、血清HGF濃度に比べて、各群間のオーバーラップが少なく、冠動脈硬化の存在・進展をより鋭敏に示している可能性がある。現在、例数を増やして詳細に検討中である。 3) PTCA後の再狭窄とHGF PTCA3か月後の冠状動脈造影検査にて、再狭窄の有無の判定をし得た、25例を対象に、PTCA前の血清HGF濃度を検討した結果、非狭窄群(0.296±0.013ng/mL,n=18)に比べて狭窄群(0.361±0.023ng/mL,n=7)においてPTCA前の血清HGF濃度は有意に(P<0.05)高値であった。血清HGF濃度が、PTCA後の再狭窄予測因子となりうる可能性について、現在例数を増やして検討中である。
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