在宅看護の機能の構造化と業務内容の明確化に関する研究

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10470521
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 村嶋 幸代 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (60123204)
• 研究分担者: 金川 克子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10019565) ; 川越 博美 聖路加看護大学, 看護学部, 教授 (50297066)
• キーワード: 在宅看護 / 24時間在宅ケア / 総合ケアプラン / 尺度開発 / 介護 / 訪問看護 / デンマーク / 米国

研究概要

研究の目的は、24時間在宅ケアの中での看護、介護ニーズを分類・整理することを通して、訪問介護の意義と専門性を明確にすることである。具体的には、(1)在宅療養者の24時間ケアの中でどのような看護・介護サービスが必要であるのかを明確にし、(2)実施された看護・介護サービスを分類、整理することによって在宅看護・介護の機能を構造化する。同時に、(3)分類された看護・介護サービスを、a.必ず看護職が行われなければならない事項、b.介護職等に委譲可能な事項、c.他職種に委譲可能だが看護職が実施することによって特別な意義をもちうる事項、に区分する。(4)これらの作業を通して、看護専門職が在宅ケアを支えることの必要性を明確にする、の4点である。
この目的を遂行するため、24時間の看護・介護サービス把握のための質問紙を完成させ、全国14ヶ所の訪問看護ステーションから約400件の訪問看護・介護記録を収集した。解析により、訪問介護ステーションの対象者は、(1)訪問看護のみの受療者と介護を含めた受療者とに分かれること、(2)介護の受療者は、一人暮らし、高齢夫婦が多いこと、(3)看護婦の行為は医療看護処置以外に身辺ケアのうち、入浴、清拭、排泄介助が多いこと。(4)看護処置は同一の処置であっても実施頻度はステーションによって異なること、が明らかにされた。なお、有料老人ホーム入所者もしくは家政婦がついている高齢者の介護行為としては、健康管理、医療行為の他に、清拭、洗髪等の清潔の援助、また、リハビリがあり、家政婦が定型的な業務をこなすのに対し、「現状を変化・前進させていくような行為」の多いことが示された。

研究成果

• [文献書誌] 村嶋 幸代 他: "訪問看護婦による夜間訪問の機能の特質-24時間3交代制をとる訪問看護ステーション利用者の記録分析から-"日本在宅ケア学会誌. 3(1). 68-77 (1999)
• [文献書誌] 村嶋 幸代 他: "在宅介護支援システムの現状"情報処理. 40(7). 668-672 (1999)
• [文献書誌] Murashima S.,et al.: "The meaning of public health mursing : Creating 24-hour care in a community in Japan"Nursing and Health Science. 1. 83-92 (1999)
• [文献書誌] 村嶋 幸代: "デンマークなど北欧でのグループホームの取り組み"作業療法ジャーナル. 34(5)(印刷中). (2000)
• [文献書誌] 村嶋 幸代 他: "健康福祉の活動モデル-考え方・作り方・活かし方- 第3章 地域看護の活動モデル"東京 : 医学書院. 176 (1999)
• [文献書誌] 村嶋 幸代 他: "地域看護学総論改訂第2版 第5章 地域看護活動と在宅ケア"東京 : 医学書院. 289 (1999)
• [文献書誌] 村嶋 幸代 他: "訪問看護実践マニュアル-問題点とその対応 保健・医療・福祉の連携-他種機関との連絡のあり方-"大阪 : 医薬ジャーナル社 1999.. 444 (1999)
• [文献書誌] Murashima S.,et al.: "Home Care : Case Studies by Nurses.Meaning of public health nursing : Creating 24-hour care in a community in Japan"Geneva: World Health Organization (in press). (2000)