本研究は、17・18世紀におけるタウンシップが、英国においてどのような機能変遷を経るのか、またそのいずれの段階の概念が、用語と共にどこへ伝播し、どのような展開を示すのかを解明することを目的とする。本年度は4年度にわたる研究期間の第1年目に当り、英国(イングランド、ウェールズ、スコットランド)とアイルランドにおける16〜19世紀初頭のタウンシップおよびその関連領域単位の実態とその機能変遷について整理を進めた。その結果、タウンシップの用語はイングランドでは広く使用されているものの、郡によってはほとんど使用されなかった場合があること、ウェールズでは使用例があるが、スコットランド・アイルランドでは全く使用されていないことが判明した。イングランドでも、最も典型的な形でタウンシップの用語が使用されているヨークシャーでは、三分割(東・西・北ライディング)されている各郡のすべての領域がタウンシップに細分されていること、16世紀末のパリッシュを基本単位とした貧民方がその一部でタウンシップを単位としたことが判明した。この動向は、17世紀後半にはイングランド全体でかなり一般化したこと、などが知り得た。
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