研究課題/領域番号 |
10480015
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
山崎 晴雄 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70260784)
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研究分担者 |
山縣 耕太郎 上越教育大学, 教育学部, 助手 (80239855)
長岡 信治 長崎大学, 教育学部, 助教授 (80244028)
久保 純子 中央学院大学, 商学部, 助教授 (90275967)
須貝 俊彦 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (90251321)
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キーワード | 山地形成史 / テフロクロノロジー / 広域テフラ / 飛騨山脈 / 隆起開始時期 / 第四系層序・編年 / 山地隆起プロセス / 火砕流堆積物 |
研究概要 |
本研究は、(1)火砕流や広域テフラを用いた、新第三紀後期から第四紀堆積物の高精度編年と、(2)隆起する山地周辺に分布する岩屑堆積物の層相変化等から山地の地殻変動史を解明することを目標にしている。(1)については昨年度までに飛騨地方の火砕流堆積物と魚沼層群、上総層群、足柄層群中のテフラとの広域対比が可能になったが、今年は、富山周辺に分布する谷口火砕流(2.2-2.3Ma)が大峰層群の曽根原テフラと魚沼層群の大池Iテフラに、松本盆地東縁の大峰テフラが魚沼層群中のSK110と上総層群のKd25(1.6Ma)にそれぞれ対比できることが分かった、その他、上総層群や小笠層群、呉羽山累層などに関連するテフラが多数含まれており、今後の層序研究に活かせることが示唆された。 (2)については、(1)で山地周辺の地層に詳しい時間目盛りが入ったことにより、山地の隆起開始時期やその過程に関しても以下のような新知見が得られてきた。山地の周辺部では厚い砂礫層の上に段丘が形成されていることが多い。これは後背山地の急激に隆起により厚い砂礫層が堆積した後、隆起運動が山地主部から周辺に及んできたため段丘形成が始まったものと考えられ、いずれの地域もこのような地殻変動の場の変化を経験してきたことが明らかになった。隆起開始時期は地域ごとに、あるいは同一地域でも場所ごとに異なっており、これを利用して、山地隆起の進行過程が明らかになった。九州では3Ma頃、臼杵・八代構造線沿いから隆起が始まり、東部に波及して0.5〜0.3Maに山地全体の隆起が始まった。四国は1Maに山地全体が隆起を始めた。中部日本では飛騨山地の隆起開始は鮮新世で、赤石山脈が前期更新世、木曽山脈は中期更新世に隆起が活発化した。このような山地隆起のテクトニックな原因は、フィリピン海プレートの運動方向の変化や西南日本の東進に求められる可能性が高いことが分かった。
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