本研究は、衣服の着心地、具体的には適合性の評価手法として、被服間隙量による評価が可能かどうかを検討しようとする。すでに我々は体幹部を被う筒方の衣服、つまり胴部原型を人台に装着させたVOXELAN法計測により被服間隙量の三次元計測の示唆を得ている。しかし本格的な適合性評価を目指すならば、生体での被服間隙量測定を行う必要がある。そこで生体での計測可能性を探り、着用感と被服圧との対応さ関係を追求することを目指した。平成11年度には非接触三次元形状計測機器導入を配分予算の範囲内で検討し、同時にVOXELANで予備的な計測を行った。平成12年度には、着用感の官能評価と被服圧測定の検出特性を検討した。まず、スカートのウエスト寸法を対象として、これら2種類の検出特性と対応関係に知見を得た。またスラックス型紙の後ろ股上線の傾斜角度の違いを官能評価し、ゆとり感の違いとして感知される型紙差の限界に知見を得ることが出来た。同時に「わずかな型紙形状の差」を、人台+VOXELAN法により他との共同研究で調べ知見を得た。生体に装着した被服の間隙量測定には、人台使用では問題とならない生体の無意識的動揺が大きな問題として立ちはだかる。そこで生体の動揺特性を把握した。またその防止手段を案出し、さらに衣服装着で隠されてしまう生体と衣服のマッチングに、一手法を提案した。しかし現在、部分ごと、ヌードと着衣と言うように数度に分けてデータを採らざるを得ない。解析ソフトの充実を含めて、当初の予想を上回る困難のため、目的に至るには問題が残される結果となっている。
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