本年度は、幾つかの食品成分を用いて、脳内神経伝達物質の変動(動物実験)と精神活動(人体実験)との関連を探るための研究を行った。精神活動については、被験者には測定前の食事を抜いてもらい、各種試料を摂取させ、その後の体温、脈拍を簡易体温計で測定し、脳波測定ソフトコンピュータを用い、定常状態の脳波測定を行った。 (1)各種糖及び甘味料をラットに投与した結果、脳各部位のモノアミン量、特に、セロトニンが顕著に変動した。脳内セロトニンの増加は、脳機能に影響与えるといわれているので、次いで、ヒトを対象に各種糖を摂取させ、クレペリン検査でストレスを負荷し、その後の脳波解析を行った。その結果、クレペリンの仕事量に差が見出した。 (2)発酵乳ホエーをラットに投与すると、脳内各部位のセロトニン量の増加することを、これまでに見出しており、今回、ヒトを対象に精神活動を測定した。その結果、発酵乳摂取により、リラクゼーションが持続する傾向が観察された。 (3)ヤマブシダケ及びその他のキノコ類の乾燥粉末をラットに投与し、脳内モノアミン量などを測定した。その結果、シイタケと比較し、ヤマブシダケ粉末には、いくつかの脳の部位においてドーパミン量を増加させることを見出し、現在、その機構を解析中である。 その他、MicrodialysisやSuperfusion法で、神経伝達物質の放出機構を解析している。
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