研究課題/領域番号 |
10480023
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
江澤 郁子 日本女子大学, 家政学部, 教授 (10060641)
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研究分担者 |
塚原 典子 日本女子大学, 家政学部, 助手 (00257073)
佐藤 和人 日本女子大学, 家政学部, 助教授 (40187175)
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キーワード | 骨粗鬆症 / 骨密度 / 骨塩量 / 小動物 / ラット / DXA / DCS-600R / QDR-1500 |
研究概要 |
近年、わが国は、急速なスピードで高齢化社会を迎え、骨粗鬆症およびそれに伴う骨折の予防が重要な課題となっている。骨粗鬆症予防には、発育期から若年期にかけての最大骨量を高めておくこと、そしてその骨量を維持し、さらには加齢に伴う骨量減少を抑制することが重要である。一方、骨粗鬆症の病態の解明や治療法の確立、および骨粗鬆症の予防手段を検討する場合、動物モデルを用いた実験が必須であり、動物モデルの骨塩量測定を含む骨代謝研究が極めて重要となる。そこで、小動物の低骨量の測定を可能にした(DCS-600R型)を用いて、飼育条件の差による骨量の違いを検討し、DCS-600Rの有用性を検討した。 本実験では、4週齢雄性SHR/NCrjラットを使用した。カルシウム(Ca)およびナトリウム(Na)量がそれぞれ0.6%、0.17%であるコントロール食(Normal-Ca&Normal-Na食)で2週間飼育した後、コントロール食を摂取するNormal-Ca&Normal-Na食群、Ca:0.6%、Na:3.0%を含むNormal-Ca&High-NA食群、Ca:0.01%、Na:0.17%を含むLow-Ca&Normal-Na食群、Ca:0.01%、Na:3.0%を含むLow-Ca&High-Na食群の4群に分け5週間飼育した。飼育期間中の骨量変化および解剖後の摘出骨骨量については、QDR-1500(Hologic社製)小動物用ソフトを用いた脛骨・腰椎の骨塩量および骨密度の測定を行った。さらに解剖後の摘出骨についてはAloka社製のDCS-600Rを用いた脛骨・腰椎の骨塩量および骨密度測定を実施した。 QDR-1500による小動物の骨量測定においては、飼料中Ca量が0.01%飼育の2群(Low-Ca&Normal-Na食群、Low-Ca&High-Na食群)は骨量が極めて低いため、検出限界以下の骨密度となった。したがって、骨塩量としての評価はできるが、骨密度としての評価は不可能であった。しかし、ALoka社製のDCS-600Rによる評価では、本装置の骨密度の検出限界が20mg/cm^2と低いので、骨塩量としてのみだけでなく、骨密度としての評価も可能であり、骨の状態を評価するにあたって、より信頼性の高いデータを得ることが可能であった。また、DCS-600Rによる骨塩量測定および骨密度測定の結果は、小動物の骨量測定においてすでにその信頼性が認められているQDR-1500による骨塩量測定の結果と相関が認められ、同様の傾向であった。すなわち、摘出骨骨塩量および骨密度は、腰椎および脛骨のいずれにおいても、Normal-Ca食の2群に比べてLow-Ca食の2群は有意な低値を示した。さらにNormal-Ca&Normal-Na食群に比べてNormal-Ca&High-Na食群は有意な低値を示した。また、Low-Ca&Hight-Na食群はLow-Ca&Normal-Na食群に比べ、低値傾向を示した。 以上のことから、Aloka社製DCS-600Rは極めて低骨量の小動物の骨量を正確に測定することが可能であり、骨粗鬆症の予防に関する研究において、極めて有効な骨量測定機であることが示された。
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