研究概要 |
本研究は,教室内で,教授者1対学習者群が自由なレイアウトで運用可能な,教授システムの研究であった。このシステムは,光拡散方式の赤外線伝送LAN及びノートパソコンを用いることによって実現された。このLANは、IEEE802.3 10BASE-Tで採用されているCSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)が用いられている。したがって,信号の衝突の検出において,無線LANに用いられているCSMA/CA(CSMA with Collision Avoidance)と比して極めて有利である。 システム上では,いわゆるパソコン教室用の,教授者のパソコンと学習者(群)とのパソコンが情報の伝達を行うためのソフトが稼働している。さらに,それに加え,教授者学習者間での音声双方向伝達の機能が付加されている。このことにより,4技能,即ち,「読む」「書く」「聞く」「話す」に対応する機能がシステム上で実現できることになった。 同時に,システムの間題点が確認された。それは,教授者学習者間の双方向音声伝達が,リアルタイムではないことであった。国際電話や衛星放送で音声のズレがあるとコミュニケーションがとりにくいものであるが,本システムでは1秒を超えるずれが確認された。 結論としては,LL教室やパソコン教室といった特別の設備を学校内に設備することなく,赤外線伝送LANを普通の教室の天井に設置し,そのサービスエリアに,赤外線伝送LANに対応するノートパソコンを持込むこと,で,自由なレイアウトの教授システムを構築できる可能性を拓いたということがいえる。
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