研究分担者 |
永井 均 千葉大学, 文学部, 教授 (20227979)
上野 直樹 国立教育研究所, 教育指導研究部, 室長 (40124177)
松本 健義 上越教育大学, 学校教育学部, 助教授 (90199878)
大嶋 彰 上越教育大学, 学校教育学部, 助教授 (90176868)
西村 俊夫 上越教育大学, 学校教育学部, 教授 (70116359)
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研究概要 |
本研究は,芸術教育の領域における子どものつくり表す行為に着目し,つくり表す行為のもつ意味生成の在り方が「生きる力」としての学びにおいてどのような意味と役割を果たすのかについて,哲学,認知科学,言語学,記号学,社会学等の学際的視点と,子どものつくり表す「行為=学び」の実践過程の事例分析により基礎理論の構築を行い,芸術教育実践の領域から「教育」そのものを新たに構築することを目的している。 平成10年度は、以下の視点から研究会を開催し,子どものつくり表す「行為=学び」についての学際的な検討と基礎理論の構築をおこなった。ウィトゲンシュタインの哲学の視点より「子どもの哲学」について(永井均)。認知科学における状況的認知の視点より,「社会・個人・発達の社会ー道具的構成」及び「発達や学習を可視化するテクノロジー」について(上野直樹)。美学・現代思想(電脳空間論)の視点より,「社会・文化の地殻変動に立ち向かう〈思想〉の現在形」について(吉岡洋)。言語心理学の視点より,「言語ー相互行為ー社会」及び「談話の認知科学」について(茂呂雄二)。デザイン理論及び記号論の視点より,「〈人〉と〈物〉のアイデンティティ」及び「記号論の思想」について(宇波彰)。また,上越教育大学の現職派遣院生の協力得て,つくり表す行為のもつ意味生成の在り方に着目した授業実践分析プロジェクトを推進した。本年度本学に導入した授業観察機器一式及び授業分析機器一式により,状況的認知,エスノメソドロジー,談話の認知科学等の知見に基き,子どもの作り表す行為場面の談話並びに相互行為分析を行った。以上より,子ども個人及び相互におけるつくり表す「行為=学び」の実践過程の意味形成機能の特徴として,つくり表す行為と談話との連鎖と関係性が,自己,文化的実践共同体(社会),子どもの生きる世界(文化)を,状況的・相互的に同時に構築していることが明らかになった。
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