研究分担者 |
尾崎 統 統計数理研究所, 予測制御研究系, 教授 (00000208)
西村 千秋 東邦大学, 医学部, 教授 (50011193)
内田 直 東京都精神医学総合研究所, 副参事研究員 (00261181)
加藤 比呂子 NTTコミュニケーション科学基礎研究所, 知能情報研究部, 研究主任 (60284171)
下平 英寿 統計数理研究所, 予測制御研究系, 助手 (00290867)
瀧澤 由美 統計数理研究所, 予測制御研究系, 助教授 (90280528)
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研究概要 |
この研究は,データにもとづく脳研究の議論に資するための基礎資料を整えることを目指して,まず,意識と脳の関係を時系列データとしてとらえ,それを解析し理解するための統計科学的手法の開発を目的として出発した.主た成果は: 脳波データに関して:てんかん外科の対象患者の脳波について、覚醒時にベ-タ1帯域(10-20Hz)が存在することを発見した。さらには、ガンマ、ベータの変動についても調べ,ガンマ帯域については、ヒトの後頭葉一次視覚野にも存在し、これは開眼時に増強し閉眼時に消失することを見出した。 脳磁気データに関して:仮現運動,聴覚弁別反応,視聴覚同時処理反応などをとりあげ,各反応に特徴的な脳の活動様式を時空間パタンとして抽出し,解析を行った。その結果,課題内容が高度化するにつれて,大脳皮質のみならず大脳辺縁系・大脳基底核等が関与していることが見出された。 異種感覚統合から認知に至る過程を調べた結果,大脳皮質活動が時間的にいくつかの相に分けられること,そして相変化の際に帯状回や海馬を含む大脳辺縁系および被殻や尾状核を含む大脳基底核等の活動が関与していることなどが見いだされた. モデル開発に関して:脳波時系列の特徴をとらえるための非線形時系列モデル周波数帯相互作用モデルを開発した。また、情報量規準もしくは対数尤度のバラツキを評価し,モデル選択の信頼性を考慮した「モデルの信頼集合」を与えるプログラムを作成した. これらの成果をふまえて,脳における物理的,生理的な過程と意識過程の関係に関する今後の研究の方針が得られた.
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