研究概要 |
複数の独立した計算機が必要に応じて群(コロニー)を形成し,それらがあたかも単一の計算機であるかのようなイメージ(Single System Image:SSI)を提供することで従来のSMPシステムの操作性に匹敵する計算機環境を実現するコンピュータ・コロニーの研究を行った.「ネットワークの向こうにある無尽蔵の計算資源を,その物理的な構成を意識せずに自由に使いこなせる計算機環境」がコンピュータ・コロニーの理想である.我々はこの目的を達成するために必要な共有メモリ環境を効率的に実現するハードウェアと,プログラミングフェースとして従来のSMPシステムでのタスク-スレッド・モデルを拡張したミッション-ユニット・モデルを提案し,このモデルの有効性を実証するために,「Colonia」と呼ぶネットワーク並列OSの基本設計を行った. 具体的には,(1)ミッション-ユニット・モデルの根幹をなすノード間分散共有メモリを実現するための各種情報を管理する大域的ネーム・サービス,(2)個々の計算機のリアルタイム応答性を犠牲にすることなくネットワークスーパーコンピューティングを効率的に実現するスケジューリングアルゴリズムの開発に重点を置いて研究を行った.特に後者に関しては,ストライド・スケジューリングとプライオリティ・スケジューリングの両者の特徴を兼ね備えるとともにスケジューリング・オーバヘッドを軽減したFair Share Priority Schedulerを提案し,その評価を行った. 一方,超並列計算機JUMP-1プロジェクトで開発した,メモリ管理専用プロセッサを通信ボードとみたて,この通信ボード上で共有メモリ環境をプロセッサに提供するための共有メモリ管理プログラムの開発を行った.
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