研究概要 |
本研究では,プロセッサ-メモリ間転送路に焦点を絞って,それがプロセッサとメモリとの機能分担によって受ける影響を見直し,プロセッサ-転送路-メモリのアーキテクチャ上の関係を改良した.まず,処理機能を1点集中させているプロセッサ機能を「メモリや転送路の利用」という観点から実験的に解析した.このとき,プロセッサ機能を性能(動作速度)だけで評価するのではなく,メモリや転送路からの情報(命令やデータ)供給量(「アクセススループット」といってもよい)も定量的に評価して考察した.これは,プロセッサ機能を「動作速度」と「メモリや転送路とのアクセススループット」の両者によって評価することである.この2つの指標がトレードオフ関係になることを考えると,プロセッサも超高機能なものを唯一コンピュータシステム中に置くのではなく,処理機能をこの2つの指標で評価し,適切な性能(動作速度とアクセススループット)のプロセッサ機能に分割設定して,それを別々のプロセッサに分担させるのが望ましいことが分かった.このように,動作速度と対メモリのアクセススループットの性能が異なる数種のプロセッサ(及びその機能レベル)を本研究では「プロセッサ階層」と呼んでいる. 本研究では,プロセッサ階層の具体的なアーキテクチャを提案した.具体的には,i)プロセッサ階層を評価(定義)する指標である動作速度と対メモリのアクセススループットによってプロセッサ機能を3種類程度に分割する;ii)それぞれのプロセッサアーキテクチャについて,それと整合するメモリアーキテクチャ(メモリ階層)を含めて,設計する;iii)設計したプロセッサ階層とメモリ階層との整合性について定量的に評価する;を行った.
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