研究概要 |
受け手の反応を考慮しながら説明を進める動的な説明生成法を明らかにするために,実際の説明対話の収集,説明対話の分析,情報伝達に係わる要因の分析,動的説明のモデル化を進めた. 説明対話の収集については,主として健康診断結果の説明対話を録音し,ツールを用いてポーズ毎に発話を分割した形で書き起こした. 説明および対話の分析に関しては,対話の主導権,発話行為,説明単位,反応の種類,説明パターンなど,動的説明に係わると思われる特徴を取り上げ,分析を進めた.特に,受け手の反応に関しては,NTT研究所の交通経路案内対話コーパスの中から20対話を分析し,質問の応答に対しては確認発話が多いこと,説明者と被説明者とでは,質問に続く発話系列が異なること,応答に対する確認発話の内容が異なることを見出した.この違いは発話者の対話における役割および主導権が係わっているという考察をした. 効果的な情報伝達に係わる要因の分析については,新聞記事を計算機が音声で伝えるときに,伝達特徴(ポーズ,文長,やりとり)を変えることで受け手の理解にどのような違いがあるかを調べるために,簡単な対話システムを作成し実験を進めた. 動的説明のモデル化については,説明対話の分析および医者のインタビューを行いながら,前年にモデル化を進めたプロトタイプの問題点,一般化の検討を進めた.特に,健康診断結果の説明を対象にした場合,基本的な説明単位の種類としてどのようなものを考えればよいか,それらに対してどのような受け手の反応があり,それによりどのように説明が展開しうるかの検討を進めた.
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