研究概要 |
平成10年度は、助詞「の」及び形容詞を含む名詞句を対象に、約3,000種類の名詞の意味属性を用いて以下の3種類の実験的研究を行った。 1. 「AのB」型の名詞句解析 名詞句解析規則を名詞Aと名詞Bの意味属性αとβの共起関係を共起マトリックスとして表現する方法を実現するため、実際の文書から抽出された名詞句の名詞Aと名詞Bの意味属性の共起頻度から、このマトリックスを作成することを試みた。その結果、81種からなる意味属性を決定することができた。また、この時の共起マトリックスを使用した係り受け解析では、正解率71.4%が得られることが分かった。 2. 「AのBのC」型の名詞句の解析 係り受け関係に曖昧性の生じる日本語名詞句のうち、最も典型的な「AのBのC」(A,B,Cは名詞)の形の名詞句に対して、係り受け解析に必要な規則を自動生成する方法を考案した。また、実験的検討によれば、得られた規則全体による係り受け解析の正解率は、83.8%であった。 3. 形容詞型の名詞旬解析 用言を含み、係り受け解析で曖昧性の生じる名詞句の中で、最も単純な構造を持つ「形容詞+AのB」(A,Bは名詞)の型の名詞句に対して、名詞の意味属性を用いて、形容詞の係り先を決定する方法(解析正解率の最大=94%)を提案した。
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