研究分担者 |
峯 恒憲 九州大学, 大学院・システム情報科学研究科, 助教授 (30243851)
菅沼 明 九州大学, 大学院・システム情報科学研究科, 助教授 (70235852)
谷口 倫一郎 九州大学, 大学院・システム情報科学研究科, 教授 (20136550)
富安 洋史 九州大学, 大学院・システム情報科学研究科, 助手 (50284550)
日下部 茂 九州大学, 大学院・システム情報科学研究科, 助教授 (70234416)
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研究概要 |
本年度は,コンピュータネットワーク上での分散環境を考慮したマルチエージェントモデルKODAMAを提案し,その応用システムとして,知的Web検索システムと分散データベース検索システムの設計と試作を行った.KODAMAのエージェントは,主として(a)環境への適応性(環境に対する認識能力,学習能力),(b)ネットワーク上の任意のエージェントとの直接対話能力,(c)協調問題解決能力の3つの能力を備える.KODAMAの応用システムとしての知的Web検索システムでは,User Interface Agent(UIA)とWeb Page Agent(WPA),Server Agent(SA)の3種類が用意され,それぞれが協調しながら,ユーザから与えられた検索要求を満たす結果を返す.検索の方式は,一般の検索エンジンがWWWのページを一旦集め,その全部に対して検索を行う(Globalな検索方式)のに対して,KODAMAによるWeb検索方式は,それぞれのドメイン毎に検索を行い(Localな検索方式),その検索結果を集める分散検索方式を採用する.その個別のドメインに対する検索は,そのドメインに割り当てられたSA,更には,各Webページに割り当てられたWPAが責任を持って行う.このように,各Webページやドメインに割り当てられたエージェントが検索に対して責任を取る形式を採用することで,頻繁に行われるWebページの更新にも対処することができるほか,従来では汎化されて失われがちであった個々のページの特徴を活かした検索なども容易に行うことができる.更に,UIAの学習方式として強化学習方式を採用し,徐々にユーザの興味を学習し,ユーザの興味に適した情報のみをフィルタリングしてユーザに提供できる. 一方,このようなKODAMAのコミュニケーション環境を構築するために,Agent Communication Toolkit(ACT)の提案を行うとともに,ACTを実現するためのアーキテクチャおよびACTで利用するためのKQMLに基づいたAgent間の会話用言語の設計を行った.また,自然言語インタフェースの基礎技術として,単語間の係り受け関係と語の意味情報を制約情報として利用する日本語検索システムの試作を行い,その性能を評価した.この言語情報と,一般の情報検索分野で主体となっている統計情報とを融合することで,それぞれを個別に利用するよりも検索精度を上げることができることを確認した. これらの研究成果は,国際学会で発表するとともに,いくつかの国際学会や論文誌に投稿中である.
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