研究概要 |
平成11年度は,以下に示すような2つの課題に対して検討を行った. 1つは,初年度に開発した「ポテンシャルモデルによる避難行動解析」プログラムを既存の大規模展示場に適用して,過去に実施されたブース配置別の避難安全性を検討すると共に,避難口や避難誘導灯の配置,避難経路の幅,展示ブースの配置などを変化させながら,避難のしやすさから見た最適な安全空間を探った.この際に地震のゆれの影響で展示品が転倒し通路を塞ぐような状況についても基礎的な検討を試みた.そしてこれらの結果から、避難しやすさから見た空間の安全性評価を行う手法についての研究を行った.すなわち現実的な屋内配置の中で,避難に適する空間特性を検討し,簡便的に避難安全性が評価できる方法についての検討を行った. もう1つは,発災時の避難者分布,空間内環境をリアルタイムにモニタリングし,これを避難シミュレーションの初期条件として解析を行い,実条件を取り込んだ避難行動シミュレーションを行うものである。この研究の目的は,様々な避難誘導の下でシミュレーションを実施することで、実時間を越えて得られる高精度・近未来情報に基づいた最適な避難誘導を行う「リアルタイム最適避難誘導評価システム」の構築にある.このシステムは予め対象空間内に設置された無停電装置付のビデオ又でデジタルカメラの映像から利用者の数と分布状況,地震による展示品の転倒や移動,出口の被害などの状況を取込み,実際の状況を入力として解析を行うものである.本年度実施した研究は,本研究で行っている首都圏のある大規模地下街の常時通行者モニタリングデータを用いて,限られた位置のモニタリングデータから空間全体の避難者分布を推定する手法に関しての研究である。
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