研究課題/領域番号 |
10480094
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高橋 保 京都大学, 防災研究所, 教授 (40027230)
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研究分担者 |
里深 好文 京都大学, 防災研究所, 助手 (20215875)
中川 一 京都大学, 防災研究所, 助教授 (80144393)
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キーワード | 崩壊 / すべり / 液状化 / 土石流 / 規模予測 / 実験 / 数値シミュレーション |
研究概要 |
近年、大規模な山腹崩壊が土石流化して、激甚な災害を及ぼす例が繰り返し発生したが、そのような種類の土石流が崩壊から土石流へどのように変化して行くのか、その変形過程が明らかでないため、発生する土石流の規模や災害危険区域を予測することができないのが現状である。本研究は、このような現象を取り上げて、予測手法を提示することを目的として行っている。 本年度は二種類の実験を行って検討を進めた。一つは、急勾配に傾けたベルトコンベアー上に崩壊土塊を模擬した土塊を様々な飽和度に調整して固定し、コンベアーベルトと土塊との間のせん断によって液状化が進行する過程を調べた。もう一つは、本研究遂行のために新たに設けた急勾配水路内に飽和度を調整した土塊を設置し、それを滑らせたときに底面から液状化して行く過程を測定した。二つの実験から、土塊は液状化部分よりも速く移動するため、土塊が下方へ移動するとともに、液状化部分が相対的に土塊の後方へ残されて土石流として流動し、土塊は液状化によって削られる分だけ、次第に小さくなって行くことが判明した。 上記のような土塊のすべりによる変形過程を記述できる方程式系の各項の関数形を明らかにすると共に、それらの大きさを実験を基に評価し、実験における土塊の運動、液状化層の厚さの変化が説明できるようになった。これによって、実際の土石流事例を数値シミュレーションによって再現できる見通しが得られた。
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