タンデムミラー型装置ガンマ10においては、高周波(ICRF)による強いイオンサイクロトロン共鳴加熱の結果、磁力線方向の温度非等方性に起因するアルベンイオンサイクロトロン(AJC)波動が自発的に励起される。又、低周波領域のグローバルアルベン波動に対応する磁場揺動が、高周波加熱に伴い励起されている。本課題では、これらのアルベン波動の励起機構を実験的に明らかにするとともに、波動による高エネルギーイオンの散乱を明らかとして、プラズマパラメタに及ぼす影響を調べることを目的としている。得られた実験結果及び成果を下に列挙する。 1.ガンマ10におけるAIC波動は、理論的に予測される励起条件より一桁小さなパラメタ領域で不安定となる。AIC波動は、軸方向に境界を持つ固有モードとして励起され、その境界条件は、プラズマ圧力で決ることが明らかとなった。 2.外部より高周波を入射し、アンテナ負荷及びプラズマ中に励起される波動の計測等から、プラズマの応答を評価する計測系を確立した。ガンマ10アンカー部において、AIC波動が正の成長率を持つ周波数帯でアンテナ負荷が減少すること、又、共鳴的に波動が励起されることが明らかとなった。このことは、初めての外部アンテナによるAIC波動励起を意味する。 3.半導体検出器を用いた計測系を製作し、高エネルギーイオンのピッチ角分布測定を可能とした。セントラル部の高エネルギーイオンの振舞は、外部より印加される高周波による加熱と自発励起波動による散乱を示すことが明らかとなった。 4.エンド部に損失される高エネルギーイオンは、AIC波動強度と強い相関を持つ。セントラルセルの捕捉イオンのピッチ角分布測定と合わせて、AIC波動による高エネルギーイオンのピッチ角散乱と開放端からの損失が実験的に明らかとなった。
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