研究概要 |
これまで、シュタルク効果を利用してプラズマ中の電界レーザー分光法により計測する際の三つの大きな制約があった。すなわち(1)適用できる粒子種、(2)測定できる電界の大きさ、(3)衝突遷移法での放電圧力下限の存在である。平成10,11年度にわたる2ヶ年の研究によりそれぞれの項目について、以下に示す大きな進展がなされた。 1.本研究での最大の収穫は、原子種のシュタルク効果により禁制源が現れ、そのスペクトル位置が電界の大きさにより大きく変化することを利用して電界測定ができることが示せたことである。これは学振外国人研究員として11年4月〜12年1月の9ヶ月滞在した分光理論専門家のロシアのガブリレンコ氏が本研究代表者らのアルゴン原子に対するデータを見て発見し、理論計算の糸口を見つけ出し、滞在中に計算を実行して実験値と対比して電界決定を可能にした。(すでに論文がContributions to Plasma Physicsに受理され、またより詳しい論文をPhysical Reviewに投稿中)。 2.測定できる電界の上、下限を決めている因子について解析し、それは上準位のシュタルク効果の主量子数を選べば1V/mmの電界までも計測可能であることを示した[プラズマ・核融合学会誌75巻3号(1999),および九大総理工報告21巻3号(1999)に掲載]。 3.圧力限界を克服するために考察した二段階レーザー励起法について、その原理的可能性を検証する結果を得た。[Japanese Journal of Applied Physics,Vol.39,No.1(2000)に掲載]。 その他、本方法を用いて放電プラズマのシース構造を解明し[IEEE Transaction on Plasma Science.Vol.27,No. 5(1999)に掲載]、また高温プラズマ適用する可能性について検討を深めた。
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